テーマ: ココニイルコト

主なCAST:相葉志乃−−−−−−真中  瞳
              前野悦郎−−−−−−堺  雅人
              山田武志−−−−−−中村育二
              渡部あつこ−−−−−黒坂真美
              門倉めぐみ−−−−−原田夏希
              丸山亀吉−−−−−−島木譲二


<あらすじ>

 相葉志乃は中堅広告代理店で働く若手コピーライター。
ある日、不倫相手である橋爪常務の夫人から呼び出されて、手切れ金を
手渡され、さらに大阪支社に飛ばされる。
「信じたり願ったりしても無駄、と思っている方が傷つかずに済む。」そうしてきた志乃は
黙ってその条件を飲む。
大阪での配属先は営業局。志乃と時を同じくして、中途採用で入った前野悦郎は初日から
堂々と遅刻して、上司の山田から大目玉を食らう。
さらに志乃も「こっちでもクリエイティブ局と聞いたんですけど」と山田に質問して「大阪じゃ営業が
一番クリエイティブなんや」とどやされる。
手切れ金の50万を使いきったら東京に帰る予定だったが、終わらせるために大穴に突っ込んだ
競艇で1千万の大当たり。
 仕事も中途半端な志乃は接待の席で大失敗をしてしまう。
丸亀玩具の社長に自社のCMプランを下品だとけなしてしまう。
「自社のプレゼンが気に入らんのか!!」と憤る社長の矛先をうまく変えてくれたのは前野だった。
接待の後、礼を言う志乃に「ま、ええんとちゃいますか」これが前野の口癖であった。

 社長はクリスマスのCMを志乃にやらせたいと言ってきた。
チャンスが廻ってきた矢先に、橋爪と再会あまりの出来事に会社を飛び出してしまう。
前野はそんな彼女を「大阪一美味いものを食わせる店」に誘う。
店主と前野の軽口のたたきあいに、思わず笑ってしまう。
「相葉さんのちゃんとした笑顔初めて見た。」という前野。
店主から「こいつ人のこと言い当てるの得意なんですわ。」と言われた志乃は「私のこと当ててみて」
と前野を試してみる。
最初は社内報で見た内容だったが、靴を見て男との関係が終わった事を当てられた志乃は怒って
店を飛びだしてしまう。
その夜、ホテルに戻った志乃に”HappyBirthday”と書かれたプラネタリウムのチケットが
届いていた。
 誕生日にプラネタリウムを訪れた志乃。
そこには、前野が待っていた。
生きている喜びを感じられる店に行こう、と彼が連れていったのは新世界の路地裏にある
骨董屋・大門。
ここにある蛙の置物を見て「これがあると勝った気になる」という前野。
なぜか通天閣にのぼりたいという志乃の言葉をはぐらかす、前野。
彼は高所恐怖症だったのだ。
しかし、日付けが変わり誕生日が終わると志乃がぽつんと一言「あたし、負けちゃった」
橋爪から電話もプレゼントもなかったのである。
 翌日から会社を休んだ前野。
妹から兄の病気を聞かされた志乃は、病院を訪れる。
手術を受けるようにすすめると、前野はとんでもないギャンブルを志乃にもちかける。
自分の預金をすべて、競艇にかけて勝てたら手術を受けると............。
 前野との関わりの中で、幸せだった頃の自分が甦った志乃はCMの企画を作り上げる。
しかし、そのCMには本物の雪が必要であった。
前野の手術は?
そして、CMは完成するのか.............?

■感想■

 現時点では今年観た映画の中で、雰囲気が落ち着いている作品である。
派手なCGも、血で血を洗う抗争劇も、ハラハラ・ドキドキのアクションも
ない映画である。
作品の原案は最相葉月の1,200字あまりのエッセイがもとになってるのだそうだ。
 相葉志乃役である、真中瞳はドラマ「新・お水の花道」よりもいい演技をしている。
映画向きなのかもしれない。
電波少年やニュースステーションの姿だけをみてると、元気が取り柄のような感じだが
そうではないのだな。と思う。こういう陰影のある役も悪くない。
特に、パンフレットやポスターになっている目をつむってるショットは「美しい....。」
の一言に尽きる。
劇中でも、いい場面はてんこ盛り。上げるときりがないので割愛する。
 俺の琴線に触れるのは、前野悦郎が今はなき「阪急ブレーブス」のファンであること。
(会社で机の上にブレーブスの帽子を置くシーンがある。)
玩具店の社長とのブレーブス談義は最高である。
前野が「1975年この年を覚えてますか?と社長に聞くと「赤ヘル古葉軍団を倒しての日本一」
と答える社長。(ちなみに劇中では志乃が1975年生まれ、そして10月23日生まれという
事を前野が紹介するシーンがある。この2つはブレーブスを語る上でとても重要)
1975年は、カープがセ・リーグで初優勝しかし、パ・リーグの優勝チームブレーブスに
1勝もできずに日本シリーズを終えた。(ブレーブスの4勝0敗2分)
カープファンである俺にはこれと1984年のシリーズ(カープの4勝3敗)ネタはビンビン
くるのである。
さっきも書いたように、落ち着いた雰囲気の中で話は進んでいく。
かといって退屈かというとそうではない。
1時間55分ちゃんと画面から気持ちが離れないでいられる。
東京ではシネスイッチ銀座でしか観られないが、行って損はない

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